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2010.01.31 (Sun)

親方のコラムンムンでぃ!『怪食談議暦』 なぜカレーに進化を求めるのか?

家(うち)のカレーという響きに、やけに郷愁を誘うものがある。
何故か?

母親の台所から聞こえる『夕飯はカレーよ~』の声に
『やった~い!父ちゃん今日はカレーだよ!』の歓声を上げたことがある人も
多かろう。一昔前の輝け子供人気メニューベスト3には
必ずランクインされていたと思う。

じゃあ、我が家(親方の実家)のカレー事情はどうだったのかというと・・・。
これが子供達にはあまり評判がよろしくなかった。
ここで言う子供達とは僕と姉だ。
僕も姉もカレーは決して嫌いではない!(ここ重要)

実家には祖父と祖母が一緒に暮らしていたのだが
母はどうやらこの二人の口に合うように作っていたらしいのだ。
つまり祖母の味とも言えるだろう。
そのカレーを姉と僕はこう呼んでいた・・・。

『まっきーきーのカレー』

まっ黄色で悲しくなるほどルーが堅いカレー。
すくったルーがお玉をひっくり返しても落ちないルー。
ご飯の上に全がけされても、まったく浸透していかないルー。

家カレー

そのルーは、一切ご飯と手を結ばない
いわばだれとも相容れない、ドイツ人将校のようで
スプーンで上から強引にこねくり回して、ようやっと黄色に染まるのだ。

この堅いコールタールのようなカレーが普通だと思っていたある日
僕と姉は見てしまった・・・。

テレビのニュースで、ある百貨店の大食堂が映し出されていたその中に
カレー・・のような物を食べている人がいた。
僕と姉は、テレビ画面の右隅に映っているその人に、
魔法にでもかけられたように吸い寄せられて行く。『なんだ?あれは!?』

いや、カレーなんだが。

そんなわきゃないだろ!まるで水のようじゃないか?
あんなさらさらで、しかも色を見ろ!濃いぞ?茶色だぞ?
しょっぱいのか?焦げてるんじゃないか?
そして、あの、あのピカピカにひかる銀の器は、なんなのだぁぁぁ!

アルマイトカレー

銀食器に似せた、その器は二人の食欲と憧れを秒単位で増幅させていく。
この事件で食に対するエネルギーはすざましいことを知ることになった。

がしかし・・・次の画面に映ったのは、もう別のニュースを伝えるものだった。
心を折られたかのような衝撃に耐え、二人は脱兎のごとく母親に駆け寄る。

ルーが水のようにゆるいこと。色が濃いこと。決して黄色ではないこと。
あんなのもカレーなのかという疑問。じゃ家のカレーは?なんで??
母親によってそんな大疑問は、冷蔵庫から取り出したある箱によって
あっさり答えが導きだされた。

『コレを使えば、そのカレーができる・・・』
手にとられていた箱には『グリコワンタッチカレー』と書いてあった。

二人『な・ん・で・す・とーーーー!!!!!』

じゃなんで今まで使わなかったかというと、ま、結局祖父達の口に合わない
と言うだけの理由だったらしい。
ならば、二人がいない夕飯のときに作ってくれ!さあ、作れ!となった。

さすがに銀食器はないが、テレビで見たものと同じカレーがテーブルに上った。
ビバ!シャビシャビカレー!
姉と僕はそう名付けた。

スプーンで一口ぱくり・・・。なんとうことだ。
まるで飲み物のようにスルスル入っていく!そして・・なんと・・なんと
スパイシーなのか~~~!!??(泣)

いや、泣きはしないし小学生のガキが『スパイシー』なんて言葉を
知っているわけもないんだが、とてもエキセントリックだったのだ。
今まで食べていたカレーにはない、香りと辛み、外国の味を感じたのだった。

さらば、まっきーきーカレー、
ようこそ、シャビシャビカレー。

粉っぽいかれーにはもうあたし達もどれない・・。なんて馬鹿なことを言っていたとき
再び事件はおきた。

アラジンの魔法のランプみたいなものに入っているカレーを発見!
緊急事態!まだ俺たちには知らないカレーがあった!
これは親父に報告せねばなるまい。

興奮する僕の報告を聞いた親父は、『ポン』と膝をひとつ叩き。
『ならば、小いけ にいくしかねえな』と独り言のように。

つれて行かれた食堂は、当時にしてはハイカラでカレーが売りのお店。
店名を『印度カレー 小いけ』という。
親父いわく
『ここのカレーは印度カレーといってな、かなり辛い本格派だぞ』
『最初は、カレー小、から行ってみろ・・・』と命じられそのまま従う。

でてきたカレーは、『ちぃとすくねぇな』と小学生が思うほどだった。
が、色が。色がまったく違う!かなり濃い茶色。そしてあの・・・。
ランプのような器に入って出てきたそれは、まさに外で食べるカレーライスであった。

ライスカレーではない。

銀のスプーンですくったルーの香りは、もう辛さを発している。
一杯だけライスにかけたものを一口・・・。
『ビリリ!』とした辛みが頭の中を駆け抜ける!口の中ではないのだ。
独特の香ばしさもある。辛いがうまい。でも辛い。

憧れカレー

なんとか食べきれたが、かなり時間がかかったのを覚えている。
顔の中心がボ~っと熱くなっている感覚のまま、街をぷらぷら歩いて帰る。
路面電車がうなりを上げて走っているのを、見ながら僕はつぶやいた。

『あの銀の入れ物、どっかに売ってねーかなぁ・・・』

親父『馬鹿、そうそう売ってねえよ、あんな食器・・・。だが』

口ごもった親父がしばらくして
『あれに入ってるカレーは確かにうまそうだ。けどよ、外で喰うからうまいんだぜ』
『家で出てきたら、大袈裟だ!で終わっちまって美味くもなんとねえな。』

そうかなあ、うまそうだけどなぁ、と納得せず
しかし、食卓にあの魔法のランプが並ぶ様を想像して
確かに似合わないなと、吹き出しながら歩き続けた。

僕の首の後ろは、まだ汗ばんでいてすーすーしていた。

福神漬け


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